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日々を、紡ぐ

手紙

ただ嬉しくて。

ありがとうを伝えたくて。

あなたからの手紙、

何度もなんども読み返しました。

病院に向かう小田急線の電車の中で。

診察を待つ間。

そして読み終えるたび、

こころの中でありがとうを言いました。

新しい生活、新しい日々が、

どうか幸福なものでありますように。

ずっと、ずっと、応援しています。
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# by january_4stars | 2017-11-13 22:48 | Comments(0)

ひかり

びっこを引きながら歩く。
痛いけれども、
見上げる秋の青空は、なんだかとても優しくて。


透析室まで案内してくださった看護師さん。
僕の足を気遣って、ゆっくり歩いてくれた。

ああ、嬉しいな、ありがたいな・・・。

誰かから優しさをもらうと、
こんなにもこころが温まる。

病院の中庭のケヤキのそばのベンチに座り、
日が沈みかけた夕空を見上げた。

透明な青。すっと筆で描いたような雲。

とてもきれいで、でも寂しいひかり。

夕暮れの新宿の街に、たくさんの人。

闇の中で。

自分が本当にひとりぼっちで、
いつかこの闇の中に、僕は消えていくのだと思うとき。

そして、世界や、ひとは、
何も変わらずにあり続けるのだと思うとき。

それでも。

生きている限り。
また朝のひかりを迎え、
誰かと出会い、美しいものに触れ、
涙を流すことができる。

誰かと笑い、怒り、
愛し、憎むことができる。

幸せも苦しみも、
喜びも辛さも、
全てを引き受けて。

闇の中に、ひかり。



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# by january_4stars | 2017-11-13 19:11 | Comments(0)

ふわり

「おにぎりはぎゅっと握るんじゃなくて、

  ふわっとしてたほうがおいしいよ」

「あの重くて硬い布団じゃ寒いよ〜」

 母の言葉。

全てを拒絶することが、「自立」だと思っていた幼い自分。

心を閉ざして。
人を拒んで。
悪いことはみんな誰かのせいにして。
そうすると、どんどん自分の内側は硬くなっていった。

息ができないほどに。

楽しさや喜び、心地よさを排除する。

つらさや苦しさを背負うことが、自分の道だと思っていた。

誰かが僕に尋ねた。

「山田さんは、何をしている時が一番楽しいですか」

僕は答えることができなかった。

自分はそういうものを求めてはいけないのだと、

僕は、ずっと思っていた。



その僕が今、

自分が生まれ育った街に戻ってきて、

夜は実家で母の作ってくれたごはんを食べて、

うるさいけれども大好きな達哉と一緒に遊んだり、風呂に入る。

誰かと一緒に街を歩いて、

どうでもいいことを話したり、

笑ったりする。

「自分はここにいてもいいんだ」


・・・そうだ。

これだったんだ。

僕が、ずっとずっと

欲しくてたまらなかったものは。

僕が頑なに心を閉ざしている間も、

世界は、何一つ変わることなくそこにあって。

ただ僕だけが、それを見ていなかった。

笑っちゃうね・・・。

・・・ああ。

いろんなことをやってきたようで

何一つできなかったような気もするし、

いろんな所に行ったようで、

実は同じ場所で、

ずっと足踏みしていた気もする。

でも、

生きている間に気づけて、
本当に良かった。

さあ、どんどん自由になれ。

僕の心。

僕の魂。

そうしたらきっと、

見たこともない新しい景色が、

見えてくるような気がする。

心地よい風が、

心の中を吹き抜けるように。

「山田さんって、UFO見たことありますか?
なんかありそうですよね!」

「ねえ君、それ褒めてんの?!」
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# by january_4stars | 2017-11-07 22:34 | Comments(0)

祈り

深く 深い闇の中で

静かに降り積もる ちいさな光の粒

生まれては消えてゆく いのち

ひとの想い

たとえ

どんなに儚いものであったとしても

確かに そこにあったもの

そのとき

 あなたは 何かに抱かれた 


・・・そうだ

これで よかった

もう 寂しくはない

あなたは 孤独ではない

もう あなたは 

ひとりぼっちでは ないのです・・・


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# by january_4stars | 2017-11-06 18:35 | Comments(0)

彼女について

今から5年前。
彼女は同じ職場の、当時僕が所属していた同じ班に入って来た。


「男の子みたいな女の子」

というのが、彼女に対する僕の印象だった。


その頃、僕は主に車で小包を配達していて、
週に1、2回班にいる状態だった。


彼女が入って来て2、3ヶ月した頃。
僕が配達の合間に班で郵便の組み立て作業をしていたとき、
配達から帰って来た彼女が突然泣き出した。

「クレームになるかもしれない・・・」

僕は慌てた。
どうしたのかと聞くと
客の目の前で郵便を落っことしてお客に咎められ、
それに対して彼女は、ため息をつくという反応をして名前を聞かれたという。

「大丈夫だ、名前聞かれただけだろ」

と僕は言った。
ようやく彼女は笑顔を見せた。

多分、そのときだった。

彼女を「守らなければ」と思ったのは。

今思えば、それは単なる僕の独りよがりで、
幼稚な身勝手さ以外の何物でもなかったのだけど。

彼女にしてみれば、
話をする相手は、別に僕でなくても良かったのだ。
たまたま、僕がそこにいただけの話。


その後彼女とは、職場の外で何回か会う機会があった。

桜の名所で知られる、引地川沿いの千本桜。
一人で桜を見ていたときに、思い切って彼女に電話をした。
彼女の家は、そこからすぐ近くにあった。

川沿いの土手に並んで座り、いろんな話をした。

彼女は大学を卒業後、警察官を目指していたらしい。
筆記試験は受かるのだけれど、体力テストなどの実技試験をパスできなかった。
その後スーパーでレジ打ちをの仕事をした後、いまの職場に来たのだという。

君さ。
警察官にならなくて良かったよ。
仕事中に相手に凄まれたりするたんびに泣いていたんでは、
仕事にならないだろ。

僕の絵を出品するグループ展にも彼女は足を運んでくれた。
彼女が来てくれるという日、僕は1日中そわそわしていた。
職場の同僚から昼飯を誘われても、断って会場にいた。
僕がいない間に彼女が来たらと思うと、外に出たくなかったのだ。

彼女は夕方頃にやって来たけれど、
あまり絵には興味はないようで、
会場を歩く僕の後ろにずっとついて来ていた。


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1年前、僕は加入している生命保険会社が主催する焼肉パーティーに彼女を誘い、
自宅まで彼女を迎えに行った。


その日のことを思い出すと、今も喉のところがぎゅっと苦しくなる。



呼び鈴を鳴らすとすぐに彼女が出て来た。
そして、その後すぐに彼女のお父さんが出て来た。

彼女からは、たまにそのお父さんのことを聞いていた。
耳が少し悪くて、彼女が何かを話してもよく聞き取れず、
そのためよくケンカをしている、と。

お父さんが彼女に僕のことを尋ねると、

「違う!友達!」と彼女が言う。

「こいつは本当に何もできないやつだから、どうかよろしくお願いしますよ」

彼女のお父さんの言葉を、今でも鮮明に覚えている。

少し早く会場に着き、
外のベンチに並んで座りながら、当時ヒットしていた映画「シン・ゴジラ」の話をした。

面白くて、また観たいと彼女は言った。
ゴジラの動きを止めるために、口からホースのようなもので薬剤を入れる場面が
面白くて、会場で一人笑っていた、と。

僕はその映画の、展開のめまぐるしさがとにかく印象的だったのでそのことを述べた。
すると、彼女は黙ってしまった。

食事会では、正直僕は気詰まりだった。
彼女もきっと同じ思いだったろうと思う。
保険で世話になっている人は彼女に対してあれこれ話しかけてくれていたが、
これもあまり良くなかった。

全てが、あまりにも「らしく」なかった。

話を合わせるために、自分がたいして面白いとも感じなかった映画の話。
普段なら決して行きたいと思わないような場所での食事。

会の途中で彼女に声をかけ、店を出た。

大型スーパーのベンチに座って少し話をした後、
そろそろ行くという彼女を引き止め、
僕は彼女に

「付き合ってください」

と伝えた。

彼女の返事は

「考えさせてください」

彼女と別れ、ひとり駅に向かいながら
いろんな思いが頭の中をぐるぐる回った。

数日後、電話で彼女に「ごめんなさい」と伝えられた。

「先輩としては尊敬しているので、これからもよろしくお願いします」

彼女にとっては、精一杯の誠意ある返事だったのだと思う。
でも・・・。

「尊敬」

なんて体のいい断りの台詞だろう。
僕はこのときほど「尊敬」という言葉を嫌いだと思ったことはない。

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それから少しして、僕は遅めの夏休みを利用し、
小笠原の母島を訪れた。

人口約500人の島。

空と海の青、山の緑。
亜熱帯気候の暑さ、突然やってくるスコール。

夜、外を散歩していると、
港前の観光案内所で、島の人たちが太鼓の練習をしていた。
僕も一緒に叩かせてもらう。

「お、いい音が出て来たじゃねえか」

と言ってもらえたのが嬉しかった。

ガイドさんを伴っての乳房山へのトレッキング。
小笠原にしか生息していないメグロという鳥が、
登山道のいたるところに設けられた水場で遊んでいる。
小笠原固有種のカタツムリ、オガサワラオカモノアラガイにも出会えた。

体験ダイビングでは、ウミガメを見ることができた。

しかしこの体験ダイビングでは潜水がうまくできず、
ただただ苦しいだけで、散々な結果だった。

帰り際、吐きそうになりながら船の上で喘いでいると、
イルカの親子に出会った。

子イルカは真っ白い体をしていて、とても可愛かった。


夕日、そして、夜。

誰もいない展望台に登って、平たい岩の上に仰向けになる。
ときどき流星が空を横切るのが見える。
波の砕ける音。
月の光が海を照らして、光の道を作っていた。

まるで何かを振り切るみたいに、
滞在中、ひたすら島内を動き回っていた。

「寂しくなかったですか」

島を離れる日、お世話になった宿の女性から、そう声をかけられた。
胸が痛かった。
触れて欲しくないところに、触れられた気がしたから。
見ないようにして目をそらしていた自分の中の真実に、
気づいてしまったから。

体の奥底には、重苦しい疲労感がずっしりと居座っていた。
下痢が続き、ヘルニアによる腰痛も悪化していた。
痛み止めの薬を飲んでいたところへ風邪薬を服用し、
帰りの船の中では猛烈な腹痛に苦しんだ。

痛みに耐えながら、山本周五郎の「柳橋物語・むかしも今も」を読んだ。

主人公おせんと、彼女を想う幸太。
だがおせんには、一緒になることを約束した男が上方にいた。

おせんは幸太を拒むが、江戸を襲った大火の日、
幸太はおせんを助け、自らは死んでいく。

様々な艱難辛苦に耐え、おせんは気付く。
自分を本当に愛してくれたのは幸太だったのだ、と。
そして、誰にも恐れ憚ることなく

「生きよう」

と決意する。

涙が止まらなかった。
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日常に戻ってからも、心身の制御は全くできなかった。

職場に行けば、嫌でも彼女に会うことになる。
お互い様なのだと、頭ではわかっている。
仕事なのだから割り切れ、公私混同するなと、自分に言い聞かす。

なのにそんな努力は、まるでメッキのように簡単に剥がれ落ちた。
そしてその下から覗くのは、むき出しの感情だった。

ある日、こんなことがあった。

隣の班で仕事をしている男性職員の作業台から、書留がバラバラと床に落っこちた。
僕はそれに気づき、声をかけようとしてふっと彼女の方を見た。
彼女もまた、その書留を落とした人の方を見ていた。
彼女は笑っていた。

ただそれだけのことだった。
なのに僕はそれを見て、頭に血が上った。
班員が集まるミーティングの席で、

「人が書留を落っことしてるのを見て、何笑ってるんだ」

と、彼女の名は出さずに言った。

そのときの気持ちを、なんと表現したら良いのか。
ただただ苦い思いだけが、胸に残った。

別に彼女は、それに対して笑っていたのではないかもしれないではないか。
これでは、ただの八つ当たりではないか。

体調はその後も改善されず、ある日、便に血が混じった。
潰瘍性大腸炎の発症、そして入院。

空間的にも時間的にも、距離を置いたこと。
入院による、命の洗濯。

病気の痛みは、
彼女に対する苦しい気持ちをいくらかは和らげてくれた。

いや、というよりも、
病気というものが、僕という人間を少し変えたのだと思う。
どういうふうに、とはうまく言えないのだけれど。

その後、僕は正社員への登用試験に合格し、
同じ職場の別の班に異動になった。

今。
彼女とは普通に顔を合わすけれど、
挨拶程度の会話はするものの、それ以上のことはない。
もう、必要以上に彼女に関わるのはよそう、と決めているからだ。

なぜって。
自分が苦しいから。
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なんで彼女だったのだろうと思う。

自分の言葉をはっきりと言わないし、
何かあると、すぐに泣いてしまう彼女。
好きなものも、大切に思うものも、何もかも違う。
というより、5年も一緒の場所にいたのに、未だに僕は
彼女のことを、よくわかっていない。

でも、彼女は根性があった。

たくさんの人が入ってはすぐにいなくなってしまう中で、
彼女は雨の日も風の日も僕たちと同じように仕事をしたし、
仕事上におけるミスも少ない。

そして、厳しい業務の中でも、彼女はいつも前向きだった。

彼女が入ったときの歓迎会の席で、彼女は

「配達が楽しい」

と笑顔で言った。

すごいな、と僕は思った。

彼女が他の人たちと楽しそうに笑っているのを見ると、
今も胸が痛い。
目の中が、熱くなる。

ただの嫉妬か・・・?

いや、そうではない。
僕はもう別に、彼女と今以上になることを望んではいない。
なれるとも思っていない。
ただ、また彼女と普通に話して、
一緒に笑えるようになりたい。

ただそれだけなんだ。

でも、それができない。
そんなふうになれるには、
僕はあまりにも小さい。
それが、悲しい。



長々と書き連ねたものの、読む人にとっては
どこにでもあるような陳腐な話に過ぎないのかもしれない。
それでも。

一度しかない命。
その中で感じてきた痛みや苦しみは間違いなく本物で、
誰でもない、僕だけのもの。

痛くても、つらくても、
生きなければなりません。

なんのために書く。

自分を救うために。


新しい何かを、僕自身の中から見つけ出すために。

見開かれた心と体で、
見たことのない景色に出会うために。

死ぬまで。















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# by january_4stars | 2017-10-29 10:46 | Comments(0)

日々思うこと、感じること