2017年 09月 22日
遥
雨音。
半袖では少し肌寒い。
開けた窓から入る、秋の夜風。
国立での研修中、血便が出た。
再燃、だろうか・・・。
ここ数日、体がひどく疲れやすかった。
潰瘍性大腸炎の発症から1年。
あれから。
病気は、僕が
「なんとなく生きる」ことを決して許さなかった。
痛み。そして、
いつどうなるかわからない自分の状態に対する心の揺れ。
「死ぬのであれば、この街で死にたい」
そう思って、自分の生まれたこの街に帰ってきた。
それからの日々。
その一瞬一瞬のなんと眩しく、重く、苦しく、そして美しかったことか。
子どもだった頃に見た、
光の記憶。風に揺れる緑。花々。
雨上がりの空にかかった虹。
そしてそこにはいつも、家族がいた。
ただ生きているだけで幸福だった。
自分はいてもいいんだと思えた。
それは、どんな苦しみや辛さも乗り越えられるほどの、生きようとする力。
「ハワイに行ってみたいねえ」
先日一緒に食事をしていたときに、母が言った。
お母さん。
僕、英語の勉強を始めました。
こんな体の状態で、1日にできることが本当に限られていて、
本当に悔しくて仕方ないですが。
でもさ。
今ほど真剣に生きたいと思ったことないです。
病気したからなんです。
病気のおかげなんですよ。
きっと。
一年後。
通訳なしで、あなたとハワイを旅行したいです。
インドの子供達だって、路上でみんな英語の勉強してた。
あれを思えば、僕だって負けてらんないわね。
遥か先の景色。
どんな苦しみと、幸福が待っているのか。
by january_4stars
| 2017-09-22 21:10
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