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日々を紡ぐ

許す、ということ

午後。
自分の血で赤く染まったトイレの水。
頭は熱く、なのに体の芯が冷えている。

からだの中で、本来自分を守るはずの免疫が
逆に自分自身を攻撃する。

そんな状態で街を走っていたとき。

「許し」ということを思った。

幼い頃、子供に暴力を振るい続けて子どものこころを踏みにじってきた父。
手術直後の高熱で死にかかり、
何とか回復してベッドに横たわっている僕の枕元で

「仕事キャンセルして来てやったからな。
 お前もこれで懲りただろう・・・」

と言い放った父。

家を出て15年間。
何もできないイジけた子供だった自分が、
自分の足で立てるようになるために
とっくに死んでもおかしくなかったような道のりを歩んで来たというのに、ただ


「お前は我慢が足りない」
「お前はこの家の跡取りなんだ」

と頑なに言い続ける父。

そして、そんな父に、
ただ黙って従うしかなかった母。

もし、許すことができたなら。

・・・人間が、人間を許す。
考えてみれば、何と傲慢な話ではないか。

じゃあ、お前はどんだけなんだ。



「許せるひとになりたい」

ふっと、そう思った。

誰のためでもなく、自分のために。

もう、憎み続けるのは嫌だ。
自分で自分をダメにするのは嫌だ。
誰かを憎み続けることに疲れた。
もしかしたら、
僕にそのことを気づかせるために、神様が与えてくれたのかも知らない。
この痛みと、苦しみを。


許すことができたなら。

「最高のものを探し続けなさい。

 そして謙虚でいなさい。

 憎しみはあなたの細胞まで傷つけてしまうから」

      吉本ばなな「王国その1 アンドロメダ・ハイツ」

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by january_4stars | 2017-10-27 21:43 | Comments(0)

日々思うこと 感じること